【タイトル】
サバイバルファミリー
【作品情報】
2017年公開/コメディ/日本製作/117分
【キャスト】
監督:矢口史靖
製作:石原隆、市川南、永井聖士
出演:小日向文世(鈴木義之)
深津絵里(鈴木光恵)
泉澤祐希(鈴木賢司)
葵わかな(鈴木結衣) 他 ※()内は役名。
あらすじ(ネタバレなし)
舞台は大都会東京。ありとあらゆるものが集まる、言わずと知れた日本の首都。
そんな東京がある日突然、原因不明の大停電に!?
人々は文字通り“コンクリートジャングル”と化した東京での生活を余儀なくされる。
数日間のうちに人々は事態の深刻さを感じ、東京からの脱出を試みることとなる。
ある者は田舎を目指し、またある者はとある『ウワサ』を信じ歩みを進める。
果たして彼らにこの大ピンチを乗り越えることはできるのだろうか。
映画を見る前の感想(ネタバレなし)
映画館で別の映画を見るときに、予告編でふと出会ったのがこの『サバイバルファミリー』でした。
初見での感想はズバリ、『なにこれ?どゆこと?』でした(笑)。
都会が停電して困るのは分かるけど、なんでいい年したおじさんが、河原の草むらの中で○○○してんの!?とか、とにかく“なんで”が出てくるわ出てくるわ。
基本的にはコメディテイストが強い印象だったので、まず期待したのはクスっと笑わせてくれるようユーモア。
扱う設定は割と深刻なものだけに、ここをどう表現してくるのかは、とても興味がありましたね。
次にサバイバルというタイトルだけあって、きっと一家の成長も描かれるんだろうなぁという期待も。
初めは弱かった現代人が、原始人並みの力をつけちゃったりして、何て妄想をしてみたり。
あとは単純に、東京が停電したら、どんなことが起こるんだろうという興味本位です(笑)。
とにかくその予告編を観たとき、こりゃ観なきゃいかんなということで、行ってきましたよー。
世界から電気が消える!!(ここからネタバレ解説)
ある日、突如街中が停電しているということに気がついた一家は、東京を脱出することを決意します。
行き先はというと、ウワサで聞きつけた大阪。
この時点で『おいおい大丈夫かよ。何の確証もないのに本当に行くの?』って思いません?
しかも交通網はダウンしているので自転車ですよ?
車だって何時間かかると思ってんのって話ですよ。
この時点でどう考えても辿り着いても何もないフラグですよね…。
とりあえず電気もガスも水道も、ありとあらゆるライフラインが止まってしまったこともあり、大阪行きを断行。
その道中がまたすごいんです。何がって、生きる術も学べるし、一方で人間の醜い部分が見えたりするんですよね。
これただの笑えるコメディじゃないなって感じました。
例えば一本100円で買える水は、1本2500円で売られていたり!
食料は当然無駄にできませんから、他人に助けを求められてもないフリをしてみたり。
個人的にびっくりしたのは、水の代わりにホームセンターで見つけた車用のバッテリー補充液を飲むシーン。
あれ水道水とほぼ同じ成分らしくて、リアルに飲めちゃうらしいですよ。
もちろん美味しくはないみたいですけど(汗)。
大阪に到着
そんなこんなでなんとか大阪に到着!結果はというと…もちろん停電(笑)!ほら言わんこっちゃないと叫びたくなりました。
苦労してきたのに骨折り損のくたびれもうけ。
一気に家族のムードは最悪状態。どーしようもないので、今度は光恵の実家へ行き先を変更することに。
そこがなんと鹿児島!嘘だろ…。
というかもう、笑うしかなかったです。
まそれもこれも、すべては生きるため。
気を取り直して一家は鹿児島へ向けて出発します。
いざ鹿児島へ
もちろんその道中も、一筋縄ではいきません。
ですが道すがら出会ったアウトドア一家(時任三郎、藤原紀香など)に、サバイバルの術を教わるなどしながら、着実に成長を重ねていきます。
中でも印象的だったのは、岡山での滞在。
空腹に耐えかねて芋虫を食べようとする義之の目の前に、丸々と太った大きな豚ちゃんが登場。
鬼の形相で豚を仕留め、さばこうとした時です。
この豚を飼育していた養豚農家の田中(大地康雄)が登場。
すでに自給自足の生活に順応していた田中は、衣食住を提供する代わりに、逃げ出した豚たちを捕獲してくれないかと鈴木家に提案。
もちろん快諾し、共同生活が始まるってわけです。
暮らしを共にしていく中で、光恵はあれほど苦手だった魚や虫を克服、子供たちも自給自足の生活を楽しみ始めるんです。
いつしか特別な感情が生まれ、ここに残って一緒に暮らしていかないかと提案します。
これに対して鈴木家が出した答えは、当初の目的地である鹿児島へ向かうことでした。
自給自足の生活がスタート
世話になった田中に別れを告げ、再び鹿児島へと向かう旅に出ます。
義之が行方不明になったり、犬に襲われたり、光恵は崖から落ちて骨折したりと相変わらずのドタバタ劇。
そんな鈴木家にもついに幸運が!なんと線路沿いを歩いていたところ、蒸気機関車に遭遇し、一気に歩みを進めることに成功したんです。
道中、行方不明になっていた義之もちゃんと回収(笑)。
そして無事、光恵の実家がある鹿児島に到着。自給自足の生活を再びスタートさせました。
電気が復活!サバイバル生活終了!
鹿児島で自給自足の生活がスタートしてから2年後、何の前触れもなく、電気が復活!!
一家は東京にて元の暮らしに戻ります。
作品中では結局、大停電の原因については不明という形で処理されています。
驚きは停電は日本のみでなく、世界中で起きていたということです。
スクリーンに映り込んだニュースキャスターは、“彗星の急接近”“太陽フレアが原因”などと言っていましたが、本当の原因は謎のままで、明かされることはありませんでした。
でも大事なのはそこではなく、一家が無事にこの大ピンチを乗り越えたということ。すっきりとした気持ちでエンディングを見ることができました!
サバイバルファミリーを見終えた時の感想
期待していたコメディ要素については、ある程度笑わせてもらいました。
個人的に好きだったのは、一家が大阪行きを決断し、出発を迎えた朝のワンシーン。
こんな状況にあっても、メイクばっちりの都会っ子結衣。それを見た義之は『こんな時につけまつ毛なんて、必要ないだろ!』と結衣を一喝。
それに腹を立てた結衣は言葉こそ発さないものの、今にも噴火しそうな形相で、義之の“アタマの上”を指差します。
そう、義之は義之で、こんな時にカツラをしっかり装着していたんです。
笑いましたね(笑)。お前もやんッ!と思わず突っ込みたくなりました。
それからもうひとつ、鈴木家の成長についてです。
これはしっかりと描かれていましたね。
映画序盤では魚もろくに捌けなかった光恵が、最後はガンガンさばいてました。
携帯なしでは生きていけなさそうだった賢司も、中盤で携帯を自らポイッ。
結衣もメイクそっちのけで豚を追いかけ回したり、裁縫にもチャレンジしていましたからねー。
人間ここまで成長できるものなんだなぁと、感動しておりましたよ僕は(涙)。
あっ、そうそう。もちろん義之もちゃんと成長。
旅の途中で大切にしていたカツラを、投げ飛ばしていましたから(笑)。
総合的に言えることは、ただのサバイバルコメディ映画ではなかったということです。
なんというか、映画を見ただけなのに、ちょっとだけ賢くなったような気分になれましたしね。
これでいつ大停電しても大丈夫(笑)!
災害への備えにもなる映画『サバイバルファミリー』。
ぜひ皆さんもご覧になってみてはいかがでしょうか?