【公開日】2019年11月8日 【タイトル】永遠の門 ゴッホの見た未来 【監督】ジュリアン・シュナーベル 【キャスト】ウィレム・デフォー(フィンセント・ファン・ゴッホ)、ルパート・フレンド(テオ・ファン・ゴッホ)、オスカー・アイザック(ポール・ゴーギャン)
むびおた
ラストまでゴッホの中に入り込んだかのように感情移入できた作品でした。タイトルもまさに映画全体を表現していて素晴らしい!天才も人間なので挫折はするし、苦労する時期もある。誰もが知っているような画家だからこそ、そのギャップに心打たれましたね。良い映画です。みなさんもぜひ見てみてください!

あらすじ

出典: https://www.youtube.com/watch?v=TxxHXzr9nwU
パリで画家になるも絵は全く売れず仲間にも恵まれない日々を過ごしているゴッホ。画家が集う集会で出会ったゴーギャンの勧めで南仏のアルルに居を移し、創作活動に励むものの、地元住民とのトラブルが相次ぎ、遂には乱闘事件までおこしてしまう。ゴッホの精神状態を心配した弟のテオは集会で一緒だったゴーギャンに兄のゴッホとアルルで生活を共にしてほしいと手紙を送る。念願だったゴーギャンとの束の間の生活も芸術に対する考え方の違いからすぐに破綻し、ゴッホの精神状態はますます悪くなっていく。入退院を繰り返しいっときは回復の兆しを見せたものの、ゴッホを悩ませる「目に見えないもの」の存在は日に日に存在を大きくし、彼を悩ませていく。生前人に、世に理解をされなかった1人の天才画家の目に写っていたものとはどのような風景だったのか。
出典: https://www.youtube.com/watch?v=TxxHXzr9nwU
※以下ネタバレを含みます

パリから南仏アルルへ 目に見えないものとの対峙

出典: https://www.youtube.com/watch?v=TxxHXzr9nwU
画家として活動するもパリで全く評価されず悩んでいたゴッホ。画家が集まる集会で出会ったゴーギャン(オスカー・アイザック)に「まだ見ぬ絵を描くために、新しい光を見つけたい。」と話すると南仏へ行けとアドバイスされる。ゴーギャンにそう言われるがままアルルへと居を移したゴッホ。枯れたひまわり畑をずんずん歩き、緑の原っぱを思いっきり走り寝転がる。黄金に輝く麦畑に思わず深呼吸をし、自然と自分との関係を見つめていく。次第に自分が描きたい、描かずにはいられないものを描き創作活動に励んでいく。しかし地元住民とのトラブルが相次ぎ怪我をしてしまったゴッホは入院する羽目にあってしまう。パリから飛んできた弟のテオ(ルパート・フレンド)に自分には「目に見えないもの」が見えていて常にその存在に悩まされている、と打ち明ける。ゴッホの精神状態を心配した弟テオはゴッホが憧れているゴーギャンにゴッホと一緒にアルルへ移り住んでほしいと手紙を送る。

ゴーギャンとの束の間の幸せ、突然の別れ

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ゴッホはゴーギャンと一緒に切磋琢磨しながら楽しいアルルでの生活を夢見ていたはずだった。しかし絵の描き方に関してゴーギャンと議論を交わすうちに、お互いが目指しているものが真逆の方向を向いていることに気が付く。自然をありのままに素早く描くゴッホと、頭の中にあるイメージをゆっくり描き出していくゴーギャン。抑制なんかしていられない...熱狂していたい、と声を張り上げるゴッホにゴーギャンは、絵が数枚売れたので再びパリへ戻ると一方的に別れを告げる。その突然の告白にゴッホは錯乱状態となり再び精神を病んでしまう。

サン=レミ養療院にてゴッホが未来へ託したものとは

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ゴーギャンがゴッホの元から去り、自分の左耳を削ぎ落とすという前代未聞の事件の後、今度はサン=レミにある静かな療養院に移っていた。ゴッホは来る日も来る日もスケッチしだんだんと健康を取り戻していく。弟テオの勧めでガシェ医師(マチュー・アマルリック)を紹介されオーヴェールへと居を移す。ガシェ医師をモデルに絵を描き充実した日々を送っていたかに思えたある日、銃を持った2人の少年に襲われてしまう。やっとのことでガシェ医師の家にたどり着き、「どうしたんだ。腹部に穴が開いているぞ!」と問う医師にゴッホは何も覚えていない、自分が望んだことだと言い残し絶命する。ゴッホの棺の周りには生前描いた作品がゴッホを取り囲むように展示され、喪服に身を包んだ人々が思い思いに作品を購入していく。

ラストの感想

出典: https://www.youtube.com/watch?v=TxxHXzr9nwU
ゴッホは拳銃自殺を図ったと思っていたので映画の終盤、少年2人とゴッホとのやりとりには驚いた。画家の多くが不幸な死を遂げている、というイメージが強く、その中でも特にゴッホは生前から全く絵が評価されずサン=レミの療養院の聖職者からは「醜い」作品だと言われてしまう始末。しかしそう言われてもゴッホの目は暗く沈むことはない。今までは人の評価を気にしていたが私は「未来の人々のために、神は私を画家にした。」と真っ直ぐに言う。その発言が嘘偽りないものであったとするならば、確かに死は突然やってきたものではあるが、来たるべき時に来たのではないかとも思えた。 全体の感想としては、ゴッホファンならば必ず観ておきたい作品。画家でもあるシュナーベル監督は映画の冒頭から私たち視聴者をある時はゴッホの目の中へ、またある時はゴッホの思考の中へ誘ってくれる。パリ時代の鬱屈とした日々、アルルで過ごしたゴーギャンとの短かすぎる幸せな時間、サン=レミでの全体的に黄色がかった風景、などがゴッホが対峙した自然と重なり合い混じり合い、自分がゴッホの中に溶けていくような感覚を覚えた。これはよくあるような起承転結がすっきりとした伝記作品ではない。「未来の人々のために」画家となった天才がなぜ孤独だったのか、未来を生きる私たちがその琴線に触れられることのできる貴重な作品である
むびおた
ラストシーンまでずっと集中して作品を見る事ができました。僕の知らなかったゴッホの世界と、人生が詰まった今回の作品はとても良かったです。
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